鉄絵徳利

近藤悠三作

 

 近藤悠三さんは染付一本の磁器作家というイメージを持っていたのですが、それは昭和30年以後のことで、それ以前は幅広く作陶されていたんだそうです。大変軽く仕上がっています。

 徳利はよく胴が張って、手肌に吸い付いてきます。よく使われていたのでしょう、酒の匂いがしみつき、枇杷色の器肌はとろりとして細かい貫入がびっしりと入っています。京焼らしい繊細さが手取りにあるのですが、ころんとした据わりのよい形と氏ならではの絵付のせいか、むしろ雄大な、スケールの大きさを感じさせてくれます。