備前酒呑 金重陶陽作

 晃介識、二重箱。酒器について最高の取り合わせは「備前の徳利、唐津の盃」というのが通説です。そのとき決まって「備前はくちあたりがざらざらするので酒盃には向かない」と言われます。でも備前の良土こそ、最上の口当たりだと思います。特にこの固いバターのような陶陽土の質感はたまりません!そして陶陽ならではの口作り、高台脇の切り回しは独特のリズム感があって、添える中指の感触も最高。小盃ですが自然な轆轤目が胴にふっくらとした量感を与え、ちまちました感じは微塵もありません。手にとって頂かないとわかりずらいかも知れませんが、品格に溢れた盃というのは、こういう盃を言うのだと思っています。こういう感じは古陶にもなかなかなく、陶陽の酒器の人気が高いのも肯けます。分不相応に頑張った買い物でしたが、お譲り頂けてとても幸運だったと思っております。