初期伊万里鎬杯

江戸時代初期 

 

 秦秀雄さんの愛した初期伊万里鎬盃。学術的には小碗というそうです。

 堅手のようなあがりの方が、最初に購入した鎬盃です。見込みにふりもの削り跡(友人の歯科医に頼んで取ってもらったんだとか)がありますが、傷気もさほど気にならず、今にして思えば本当に手頃な値段で分けて頂いたと思います。

 その後も縁あるごとに求め、現在では4客ほどになりました。もちろん全て発掘品で、どれもひっつきがあってひしゃげていて、最初に入手したこの二つを除けば、ほとんど陶片というべきものです。しかし初期伊万里の焼きあがりは千差万別、また鎬の深さや角度、高台などにもひとつひとう個性があり、高価な完品をひとつという気分になれず、安価でも愛嬌のあるものが集まってしまいます。焼成しすぎてぐにゃりとへたっているようなものの方が、総じて釉色は魅力的だったりします。