古唐津盃 銘老杉 杉の元窯 (桃山時代)

 杉の元窯は武雄系の窯。窯の中で変形して打ち捨てられたのか、堀の手である。小皿だったのかも知れないが、見込みが深くて盃にも使われていたような気がする。昔の酒は今ほどアルコール分が高くないから、大きさもちょうど良かったのでは・・・。桃山らしい豪快な作調で、三日月高台も兜巾がたって力みなぎる。武雄系の赤い土に釉はオリーブグリーンに発色、ところどころの釉だまりと相まって、屋久島で出会った、苔蒸した老杉の樹肌を思わせる。酒を吸うといっそう深みを帯びる。圧倒的な存在感はまさに縄文杉の風格である。