備前徳利 中村六郎作

 

 共箱。現在の尻張り徳利を考案される前の作品で、ねっとりした土味が素晴らしいです。もうこういう土はないのでしょうか?しかし何と言ってもこの風格は、六郎氏ならではのものだと思います。口もたまらんです。この徳利に関しては、抜けが火の玉のようになって、そこが何とも気に入っているところです。色合いも渋いです。窯変ものは握ったときの手触りがしっとりとこないのであまり好きじゃないなんて思っていたのですが、この徳利には負けました。しかし六郎さんの徳利はとても強く、酒盃を選ぶので取り合わせが難しいです。

追記:今年(2004年4月)亡くなられたと報じられていました。寂しい思いがいたします。ご冥福をお祈りいたします。