三島徳利 銘 老乳母

朝鮮王朝時代

 太首、ぱんぱんに張った胴。青山二郎旧蔵の粉引徳利 銘 酔胡(通称「狸の金玉」)にせまる形態というのが、骨董屋さんの売り文句でしたが、三島手でこんな豪快な作行きの徳利は私は初めてで、一目惚れでした。三島も焼きが堅いもの、柔らかめのものと千差万別ですが、これは高麗青磁に近いような堅い部類です。青磁釉は還元がかかった箇所は大変美しく、高麗青磁と見る向きもあるかも知れませんが、形態からやはり李朝に入っていると見た方が妥当でしょう。無造作な釉がけのせいで、三方に象眼された菊花の趣がそれぞれ異なり、まるで青碧の霞がおりてきたような印象を受けます。力強くも、優しく柔らかな徳利で、育つのが楽しみです。