共箱。横浜で合コンがあった。駅で待ち合わせたのだが誰も来ない。おかしいな、と思い友人に電話。なんと一時間間違えて、早く来てしまっていた。
さてどうやって時間をつぶそうかと、横浜高島屋に入った。ふらりと立ち寄った作陶展。これが三好健太郎さんの越前唐津との出会いだった。
中央におかれたガラスケースに入っていたたくさんのぐいのみ達は、どれも酒が注がれるのを待っているかのような顔をしていた。魅せられていると三好さん本人がやってこられて、「どうぞ、やきものは触って楽しむもんですから。買う買わないは気にしないで結構ですので。」手に取ると、吸い付いて離れない。しまった、と思ったがもうあとの祭りだ(笑)
さんざん迷ったあげく、この絵唐津を選んだ。雲のような長石釉の溜まった感じと、草花の野太い筆致に惹かれた。この太く、力強く描かれた草文をみる度に、職場のごたごたにまきこまれて、うんざりしていた、あの頃の自分を思い出す。踏まれてもまた立ち上がる路傍の草のように、ただ強い心を持たねばと言い聞かせていた。
越前の土でつくられ、割竹式登窯で自然降灰釉をたっぷりかぶった、やきしめの「越前唐津」にも心惹かれた。今の自分だったらこっちを買うかも。とにかく魅力的な「酒呑」をつくっていらっしゃる方だ。
「僕はお酒が大好きなんですよ。だから、ぐいのみはぐいのみと書かずに、「酒呑」って書くんです」酒呑の先生に、この盃で飲んでいる千葉の純米酒「美浜」をお送りしたら、なんと先生は純米吟醸「花垣」を送ってきて下さった。手紙には独特の伸びやかな筆で「美浜」の飲感がしたためてあった。花垣は初めて飲んだが、非常に香り高い個性的な酒で、存分に楽しませていただいた。本当に有り難うございました。