赤膚焼 鉄絵粉引徳利 江戸後期〜明治?

 古曽部の徳利を譲って下さった方と同じ方から譲っていただいた。これも直木賞作家F氏の旧蔵品。芋型の小徳利で、肌はとろとろ、酒が染みている。一条の青い窯変が美しい(画面左下。わかりにくいかな)。口部欠けがあり、直してある。愛玩されていた様子がうかがえる。白化粧してから鉄絵を施し、釉掛けしている。絵唐津と聞いたが、絵付も土味も姿形もどうも違うように思う。貫入の感じなど京焼(京唐津)のような気もするが、それもよくわからない。花押のようなものが見られるが、判別不能。時代は明治頃だろうか?産地は?・・・いろいろと考えてしまうが、いつも飲んでいるうちにそんなことはどうでもよくなる。本当にお酒を美味くしてくれる徳利だ。今の私には、一本ではちょっと酒量が物足りないが(^_^;)、でも見てくれよりも酒は入る。手取りは軽い。この徳利も絶対手放せない。

 追記 「茶碗 窯別銘款 黒田和哉著(グラフィック社)」より、この花押(?)から赤膚焼ではないかと考えられた。赤膚焼は1580年豊臣秀長が大和郡山に移封された際、尾張常滑より与九郎を招き、茶器、食器の窯を開かせたのが始まりとされる。寛政年間(1789-1801)に至り京都から治兵衛が招かれ、御庭焼として再興。