粉引盃 

朝鮮王朝時代(後期)

 YAHOOオークションで買った「粉引盃」。口径が11センチ近くもある。重く、持ちにくい。この器形、高台の大きさを考えても、明らかに盃ではない。酒もあまり入らない。朝鮮半島では、日本のように器を持って食べる習慣は基本的にないらしい。それゆえに、どっしりと安定した器が好まれるのだろう。それとも、お供物を捧げる器なのか。

 李朝後期の物で、F言堂主人のいとこが所有していたという。いとこ云々はともかく、K美術のご主人によれば、李朝後期のものであることはたしからしい。

 白い、磁器質の胎土なので、堅手と呼んだ方がいいのかも知れない。釉薬のむらが雨漏りのような景色になっている。目跡が12(11かも)と多く、畳付のところにも、たくさんの丸土を付けた跡がある。高台が大きいせいだろうか。

 蓋裏には「いまわたり」と書いてある。いまわたり(今渡)とは、江戸時代中期以降、日本に舶載された茶道具類のうち享保以降に渡ってきたものについて用いる言葉であるが、要するにこわたり(古渡)に対する言葉である。大した意味はない。

 キムチを盛って使うことが多い。色彩がよく調和して、美味くなる。別のつまみでも、この器に盛ってなくなるまで飲むとちょうどいいので、よく使っている。