化石(fossil)欲っしぃ〜!

 カワセミ 撮影:syurann-syurann

 私の小さい頃の夢は「恐竜の博士になること」だった(今となってはわけがわからないが(^_^;)、昔の私を知る者が言うには、恐竜の化石が出た場合、現地に行ってそれがどんな恐竜なのか説明するという仕事をしたかったらしい)。恐竜探検隊ボーンフリーも欠かさず見ていたし、とにかく、恐竜が大好きだったのだ。特に記憶に残っているのは東京・上野の国立科学博物館で行われた、ソ連科学アカデミーの「大恐竜展」。1時間以上並んでサウロロフスの皮膚の化石に触って「サウロ・タッチ証明書」なんてのまでもらって大喜びだった。

 あれから恐竜の学問は科学技術の発達と共に飛躍的に進んだ。子供の頃大好きだった本、学研のひみつシリーズ「恐竜のひみつ」「化石のひみつ」。その「化石のひみつ」に、恐竜発見のエピソードが二つ載っている。ひとつは、主人公が山麓で一本の瓶入り牛乳を飲み干すシーンからはじまる。つらい山道を登り、ついにフタバスズキリュウを発見するという話。二つめの話の舞台は、どこかの砂漠(忘れました)。家族総手で化石を探している。食料がなくジャガイモだけで何日も頑張って、ついに恐竜(トラコドンだったかな?)の皮膚化石を世界で初めて発見するという話。執念と根性なくして大発見はできないんだなぁと子供心に思ったものだ。(それから牛乳とじゃがいも。初めて南房総に化石探しに行った時も、牛乳はちゃんと調達したし、じゃがいもは・・・ポテチかなんかで代用したかな?(^_^;))今ではエコー探査で地底の化石の様子を知ることもできるとか。もう牛乳とジャガイモの時代は終わったということか。

 太古の生物のもつ大いなるロマン。これらの存在は、化石によってしか明らかにされ得ない。化石とは、人類が生まれ出る以前の、大地の記憶。どんなものでもいいから、子供心に欲しいと思ったものです。アンモナイトや三葉虫が、博物館の土産物売り場に申し訳程度に売っていたけど。当時それらはどれもとても高価で、小遣いで買えるようなものじゃなかった。それがこの頃ではどうであろう。近所のミネラルショップでは、モササウルスの歯は400円、三葉虫やアンモナイトに至っては、100円から売っている始末。日本経済の勝利なのか、地球環境の開発が進んだせいなのか・・・安くなったのは嬉しいと思う反面、ちょっと複雑な思いもある。・・・だが、私の憧れとロマンまで、デフレスパイラルに載って下降していくわけではない。

 大学院に進み博士には何とかなったものの、現在は恐竜と無縁の仕事をしている。それでも、年に何回かnatureやscienceといった総合科学雑誌の表紙を恐竜が飾ると、一体今度はどんな発見があったのかと血が騒ぐ。生物の進化は系統学者や古生物学者だけのテーマではない。生物学に携わる全ての研究者が思いを巡らせているテーマなはずである。アプローチこそ違えど、いつかどこかで、再び恐竜をはじめとする太古の生きもの達と何らかの形で関われる日を夢見つつ、毎日を生きている。

 そんな私の、小さなタイムマシーン達をここで少し紹介させていただきます。彼らは囁きかけてくれます。

「そう、僕は君に会うために、時を越えてきたんだよ・・・」

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